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『硫黄島からの手紙』を観ました。
前出の第1部『父親たちの星条旗』の感想記事( こちら→[らしからぬ・・・『父親たちの星条旗』イーストウッド再考)]と、その中で意見交換させていただいたコメントにおいて、映画監督イーストウッドがこれまでのキャリアとは異なる姿勢で本シリーズに挑んでいることを中心に、現時点でのイーストウッド論を論じることができたと感じています。今回やっと観ることができた第2部『硫黄島からの手紙』でもその論旨は有効と考えますので、反復は避けてあえて今回は監督イーストウッドに接近することはしません。 本作に限らない話ですが、20世紀の戦争を活劇の題材として取り上げることが、映画として不謹慎であるかのような、そういう時代がずいぶんと長く続いているように思われます。 これは現実に大勢の人間を不幸に至らしめた史実の重みがある以上、それに取り組む者に表現者としてのモラルの問題が課せられることが困難としてあるのだと思いますが、それにしても戦争が活劇の題材から遠ざかってひさしく、映画にとっては幾分もったいなくも感じられます。 おそらくこう言うと、本来的に本作『硫黄島からの手紙』が描こうとする主題から、多少なりとも活劇性といったものに接近しかねないのだろうけれど、それでもしかし、正直こう思ってしまう...。...硫黄島の地形が長期戦に至る栗林の戦術と幾何学的に絡み合ったような展開が欲しかった...。実際あって良かったと思う。 数日で落ちると言われた硫黄島が1ヶ月を超える激戦となったという、少なくともその"表面上の"史実に対して、映画が応えていることが、ここ(本作)にはほとんど無いと言えます。 「大切なのは内面だ」と言ってしまうのは(---別に本作がそう言っているわけではないけれど)、映画としてはあまりにもったいない話で、硫黄島の史実が指し示す"表面的な"ことに対して、あまりにも応えることができていないのが残念...。 "表面的な"を具体的に言い直してみると、つまり、 映画は、「地形図的」、「時経緯的」な、あまりにも映画向きの醍醐味に無関心すぎるということです。 映画として、あの地形にもっともっと敏感になって良いし、そしてまた、少数で多勢を迎え撃つ(「七人の侍」的な)戦術の構造原理を、時間経過の耐久性とともにもっともっとトリッキーに見せて良い、と感じられ、これは本作の禁欲性としてあるのではなく、多分、単純に取りこぼしてしまっているのではないか、と思えてなりません。 ![]() さて、最後に、本2部作が結果的に何を語りかけてきたのかを考えてみます。 第1部『父親たちの星条旗』のライアン・フィリップ=ドクと、本作『硫黄島からの手紙』の西郷=二宮、この二人の低通する視線を重ね合わせるとで、それが明確になるように思われます。 まず、あからさまに主張されるのが、 --- 「国家を信じてはいけない」 こうして、戦前戦中当時の思想としてある、悪しき(とされる)ナショナリズムが、積極的に否定されます。 しかし、次のような考え方とともに、新たなナショナリズムを獲得することになります。 --- 「愛する家族や友人、そして自分の為に」 結局、国家や民族の統一思想は、国から一方的に与えられるものではなく、後者の思想の延長から当然の成り行きとして、自然と愛国心が獲得されるべきである、という論理が、それだけが真実であるかのように声高に主張されます。 ですので、本作で描かれる栗林やバロン西のような人物は、国際人であるがゆえに、このような自国だけに限定されない愛国心に、心引き裂かれるかのように写るのだと思います。 2作を通して観て、自分の中で交錯する様々な想いがあるのですが、余計な部分を拭い去っていくと、このような本来あるべき、正当性を身にまとった愛国心の再認識、という、イーストウッドらしいと言えばらしいテーマに帰着するように思われ、興味深いところです。
タイトル : 「硫黄島からの手紙」
(原題:Letters From Iwo Jima )やはりアメリカ人が撮っただけに、本作よりも前の「父親たちの星条旗」の方がサマになっている。特に当事者意識の高さにおいて、しょせんは“ヨソの国の立場”を想像して撮った本作が後れを取るのは仕方がない。 だが、それでもクリント・イーストウッドの健闘ぶりは評価されて然るべきだ。綿密な事前調査により、日本側の描写に関する違和感は納得できるレベルにまで抑え込まれている。少なくともハリウッド名物“えせ日本”みたいなのは存在しない。これは単に“日本の観客に......more
タイトル : 【劇場鑑賞138】硫黄島からの手紙(LETTERS FR..
1945年 硫黄島 アメリカが5日で終わると思っていた戦争を 36日間守り抜いた日本人たちがいた これは彼らの話である ...more
タイトル : 【映画】硫黄島からの手紙…外国人に作れて何故日本人には作..
この記事のサブタイトルは「父親たちの星条旗」の記事の続きという意味で“…俄かイーストウッドファンなピロEK(その2)”とするはずでしたが、他に思い浮かんだのでやめました(で、上記タイトルに変更){/ase/}さて、先ずは近況報告から。今週の夜勤は昨日の金曜日以外ずっと残業{/face_hekomu/}仕事量がピークなのにプラスして担当の機械が不調{/face_naki/}{/ase/}…そんな感じで先々週頃からずっと忙しくてお疲れ気味です{/face_hekomu/}。そんな夜勤明けの今日......more
タイトル : 硫黄島からの手紙/LETTERS FROM IWO JI..
[硫黄島からの手紙] ブログ村キーワード硫黄島からの手紙(原題:LETTERS FROM IWO JIMA)キャッチコピー:世界が忘れてはいけない島がある。日本から見た「硫黄島」製作国:アメリカ製作年:......more 硫黄島二部作の感想、興味深く読ませていただきました。 私も「父親たちの星条旗」で、‘実際にどんな戦いが硫黄島で行われたか’ということが全く無視されていたことにガッカリしたので、「硫黄島からの手紙」に期待したんですけど、こちらもそういう点ではダメでした。あれほど前フリでは「長期戦に持ち込んだ栗林の戦術」がクローズアップされてたのに。 あと、「父親~」で洞窟内に拉致されてリンチされたと見える少年兵の話が、唯一2作を繋ぐ鍵になるのかもと思ったけど、これもまた外れてました。正当な戦争映画を見れるのかと期待するのは、途中でやめました。 前にhychk126さんが書いた「ジャーヘッド」の評も読みましたが、私はあれ、結構好きです。あそこまで馬鹿馬鹿しくてこれが「戦争です」って言われちゃうと、そうですね、バカみたいですねわっはっはって笑える気がして(笑) >BBさん 西郷を中心とした日本兵の視点に徹しているのだから、戦い全体を俯瞰できるような視点は有り得ないのだ、という理屈は理解しているつもりなのですが...と、自分でフォローもしつつ、それでもやっぱり、どう見ても数日の時間経過しか感じられないのは問題だし、地形を生かせていないのももったいないです。 『ジャーヘッド』の「これが戦争だ」という視点は今日的だし失敗しているとは思わないのですが、今後中東を舞台にした戦争映画がかかえてしまう問題をあらわにした、という印象です。感想で触れたように、ロケーションの貧弱さを、映画としてどう克服するかという問題です。別に現実の中東の景観が貧弱と言っているわけではなく、映画が戦場として取り組むのはいろいろ難しさがあるだろうなぁ、という感じですね。 トラックバックありがとうございました。 各サイト・ブログ・映画雑誌などでいろいろな評が飛び交っていますが、少なくともこの「硫黄島二部作」は真摯に撮られていて、イーストウッド作品の中では好きですね(今までは嫌いなシャシンばっかりでした)。 それにしても、戦略的においしいネタが多数転がっている硫黄島攻防戦を、しかも日本の側から描いた映画を外国人にまんまと持って行かれたことは、邦画関係者は恥じるべきだと思います。 それでは、今後とも宜しくお願いします。 >外国人にまんまと持って行かれたことは、邦画関係者は恥じるべきだと思います。
元・副会長さんはすでに観ておられるようですが、私も先ごろ『鉄コン筋クリート』を観てきました。これもマイケル・アリアスに持っていかれてしまった、と言えますが、STUDIO4℃という日本が世界に誇るアニメ工房の仕事として拍手できるので、嘆く必要はないようですね。
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